「働くことを軸とする安心社会」という理想を実現

連合山口第29回定期大会を開催

安心社会へ新たなチャレンジ~すべての働く仲間とともに「必ずそばにいる存在」へ~

連合山口は、11月2日(水)山口市に於いて、第29回定期大会を開催し、来賓、代議員、執行部他149名が出席しました。
冒頭、伊藤会長はあいさつで「今大会では、3年ぶりにご来賓の皆様にご臨席いただいた。コロナ禍により集うことがはばかられる長く苦しい状況から、徐々にではあるが日常を取り戻しつつあり、嬉しく感じている。しかし次の波も懸念されるなど、依然として収束の見通しは立っていない。税や社会保険料の増加や円安による物価上昇などで実質所得が減少する中、2022春季生活闘争では2015闘争以来の高い賃上げを実現した。また、今年度の山口県最低賃金審議会では、過去最高となる31円の引き上げとなった。山口県の最低賃金が時給888円に引き上げられたことは「格差是正」と「底上げ」に向けた大きな成果だと考えている。この流れを2023春季生活闘争につなげるため、私たち組織労働者の取り組みが日本の未来をつくるということをしっかり意識しながら進めていきたい。また、来年4月には統一地方選挙がある。地域に根差した政策を実現するとともに、働く者、生活者の立場にたつ政治勢力の結集・拡大をめざすための基盤をいま一度つくる重要な闘いとなる。推薦候補者全員の必勝をめざし、構成組織・地協・地区会議と共に戦う体制を構築していきたい。労働運動がめざすものは組合員のみならず、すべての働く仲間、生活者の幸せの追求に他ならない。取り巻く環境は決して容易なものではないが、この困難な時代を乗り越えるため、共にがんばろう」と述べました。
続いて、来賓挨拶ののち、連合山口推薦の山口県議会議員6名および来年の県議会議員選挙推薦候補予定者2名より挨拶をいただきました。その後、2023年度活動方針(案)、2023年度諸会計予算(案)、表彰について提案し、承認されました。
活動方針に対し、自治労古川代議員よりハラスメント撲滅に向けた取り組みについて発言をいただきました。
最後に、伊藤会長の発声によるガンバロー三唱を全員で唱和し、大会を締めくくりました。

2023年度活動方針(PDF)

 

【大会発言】

発言者:古川 俊 代議員(自治労)

発言項目:ハラスメントの撲滅に向けた取り組みついて

発言内容:本年6月に新聞等でも報道されましたが、県内病院に勤務する病院長並びに副院長、医師2人が複数の職員に対して威圧的な態度をとったり、大声で叱責したりするなどパワーハラスメントを行っていたとして停職や減給の懲戒処分を受けました。
当該病院においては、10年以上前からパワハラの存在が指摘されていました。2017年に設置された「パワハラ相談窓口」には、いくつもの相談が寄せられるものの、当初は「自分の名前も事案も行為者に教えないでほしい。ただこういうことがあることだけはわかっていてほしい」というものでした。
その後も、行為者に知られると仕事に支障が生じることから、同様の傾向が続きました。病院事業局は、2017年度にパワハラ実態調査アンケートを実施し、「回答者自身がパワハラを受けたことがある職員」が59.8%、「パワハラを受けているのを見たり相談を受けたことがある職員」が73.6%、という結果に病院事業局も事案の深刻さを実感しました。
それ以降も了解を得られたものについてはヒアリングを行い行為者に指導を行うものの改善されないままでした。
該当労働組合は、この10年間パワハラを理由とした退職・異動・メンタルの不調が常態化し、深刻な状況が続いていることから、病院事業局に対し、ハラスメント行為を止めさせる措置を行うように、2021年1月にハラスメント改善要望書の提出を行いました。これを受け、病院事業局はハラスメントに関する苦情に対し、適正かつ効果的に対応するために同年5月ハラスメント対策委員会を設置しました。委員会はハラスメント事案に対して事実関係を調査し、解決に向けた関係者の合意を得るための措置及び再発防止策について検討し実施する、そして必要により懲罰審査会に諮るように申し出ることができるとされておりました。その委員には、外部の弁護士二人及び外部の有識者に自治労山口県本部副執行委員長が任命されました。
2021年9月、ハラスメントの実態は変わらないまま時は過ぎていく中このままではまた離職者が増える、これ以上離職者がでると病院は正常運営できないと2つの該当労働組合連名でハラスメント対策委員会宛に、「苦情申出書」を提出しました。このことで、今までの流れが大きく変わり、病院での立場が悪くなるリスクを感じながらも、ハラスメント苦情申し出者24人のうち16人がヒアリングに協力すると申し出があり、事案を具体的に示してくれました。この中にはすでに退職をされた方もおられ、「病院が好きだから協力したい、もっといい病院になってほしい」と当時の嫌な出来事についてヒアリングに応じてくれました。解決・改善にむけ労働組合が先導して、職員が1歩を踏みだしたことが今回の解決に繋がっています。
関係者によるヒアリングを重ね、病院事業局は6月3日付で二人をそれぞれ停職1か月と、給与の10分の1を6か月間減給する懲戒処分を決定しました。
委員会報告書では、病院事業局に対し再発防止策についても提案され、地域医療を守るため、働きやすい職場に向けた環境改善を進めることを強く求め、ハラスメントを行ってはいけない旨の方針の周知・啓発の徹底をおこなうとされました。
なかなか踏み込むことが困難な医師のパワーハラスメントに対して、労働組合と組合員が立ち上がり、病院事業局とともに改善に向けた取り組みを行った事例となりました。
ハラスメントを明確に処分するには、事実を隠したままでは問題解決に繋げられず、今回ヒアリングに協力してくれた職員の皆さんの勇気に改めて敬意を表します。この大きな1歩を県内他単組にも広げ、パワハラのない職場の実現を目指していきます。
連合山口としても今後もハラスメントの撲滅に向けてしっかりと取り組んでいただきたいということをお願いいたしまして発言とさせていただきます。

○連合山口コメント

県内の自治体病院における「パワハラに関する取り組みの一例」をご紹介いただきました。
パワハラは、身体的な攻撃、精神的な攻撃などがあります。働く職場における定義については、「優越的な関係を背景とした言動」「業務上、必要かつ相当な範囲を超えたもの」「労働者の就業環境が害されるもの」があります。また、職場や家庭における「いじめ・嫌がらせ」・パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラなど様々なハラスメントが存在します。
件数的にはコロナ禍による在宅勤務やリモート対応の会議などで、若干減少したものの、コロナウイルスの感染がおさまるに伴い、増加の傾向にあると聞いています。
法律も、二年前、令和2年6月1日に「労働施策総合・推進法」が施行され、今年の4月1日からは全ての中小企業・事業主にもパワハラの防止措置が義務化されました。しかし、実態はなかなか社会から全てが無くなるものではないと感じています。
実際、このパワハラの問題は、より命に関わる事の多い現場、危険と隣り合わせの職場、例えば消防署や病院などでより多く起こっていると認識しています。
特に上下関係が強く厳しい職場、また、異動の少ない部署やずっと同じメンバーで働くの職場に多いと感じています。
また、人と関わる事の多いソーシャルワーカーと呼ばれる皆さん、スーパーやお店の店員さんについても、日々消費者からのクレームや、いわれのない理不尽な要求、嫌がらせは、コロナ禍になって特に増えてきて、後をたたないと聞いています。
発言の中では、運営側・労働者とも長い間、状況については認識されていたものの、なかなか有効的な手立てがされなかったとありました。
これについては、各自治体病院における、経営難や看護師不足、各大学からの医師の研修・派遣制度による医師不足など、慢性的な人員不足の問題が、根底にあったのではないかと推測できます。
自分が声を上げる、また、同僚が声を上げることによって、医師が居なくなり、結果として病院経営や運営がむつかしくなり、日々の業務においても、同僚・仲間が辛い思いをする。そのような事が起こってほしくないという気持ち、「やさしさ」が、私が目をつぶれば、私が我慢すればというような事ととなり、改善に少なからず影響を及ぼしていたのではないかと思います。
この問題の発端となり勇気を出して声を上げられた病院従事者の方、また、その気持ちを受け止め、対応をされた該当労働組合の取り組みに、心からの敬意を表したいと思います。本当に、大変勇気のある行動だと思います。
この様な問題は、他の自治体病院や個人病院、さらに働く仲間の多くの職場で未だに起こっていることだと思います。
自治労の組織内または各構成組織においても、組合員へのパワハラについての周知は当然の事ですが、経営者と共通認識のもとに一体となってイジメや嫌がらせがない、パワハラの起こりづらい職場環境づくりに取り組んでいただければと思っています。被害者となった人が苦しんだり、そのことによって職場を追われたり、自ら命を絶つことなどが起きない、慎重な対応を役員の方にお願いできたらと思います。
連合山口といたしましては、重点分野2の中に盛り込んでいますが、すべての働く仲間のディーセント・ワークを実現する取り組みとして、10/28の知事への対県要請の中でも、公務員も含めたソーシャルワーカーへのカスハラについて伊藤会長から現状報告行い、併せて消費者への周知や教育についても訴えさせていただきました。
加えて、各方面への政策・制度の要求内容や、対市要請にも含めながら、対応をしていきます。
これからも、連合山口の重要な取り組みとして「全ての差別の撤廃とハラスメントの撲滅」に、引き続き取り組みたいと思っています。

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