連合山口は、10月31日(木)山口市において、来賓、代議員、執行部をはじめ150名出席のもと、第31回定期大会を開催しました。
伊藤正則会長はあいさつで「本日の大会は後半年度の活動の充実、活性化をさせるための重要な大会である。残された一年間の活動を着実に実践し、成果を出すためにも活発なご議論をいただきたい。本大会で提起する課題の一つに組織拡大がある。働く人、組合員の雇用を守り、労働条件の維持向上をするためには集団的労使関係の強化が重要である。不条理な働き方に従うしかない未組織労働者の組織化を行い、問題解決を図ることが、連合がめざす『働くことを軸とする安心社会』につながる。困難な場面ではあるが、強い信念をもって取り組みを進めたい。春闘については、今次春闘では多くの組織で昨年を上回る結果を出していただいた。しかしながら、中小企業の賃金改善はまだ弱いものがあり、格差が拡大している。来期も引き続き『未来づくり春闘』を掲げて取り組んで参りたい。去る10月27日には第50回衆議院議員選挙が行われ、連合の支援する立憲民主党・国民民主党が躍進した。私は両党が小異を捨てて大同につく、この精神で二党を中心とした労働者・生活者重視の政権が誕生することを切望している。来夏には参院選の闘いが待っている。推薦候補全員の必勝のため、今以上のご協力をお願いしたい」と述べました。
また、衆議院議員選挙で比例当選を果たした平岡秀夫衆議院議員が「12年ぶりに国会議員としてこの場で皆さんにお会いできた。これも連合山口からのご支持と、推薦をいただいた産別の応援のおかげであり、あらためてお礼申し上げたい。この十数年の政治を見ると、十分な話し合いもせず閣議決定だけで物事を決めているように感じる。本当に国民に支持をされるためには、信頼される政治でなければならない。今の国会情勢ではどこが政権を担っても不安定な情勢になると予想されるので、次の総選挙もそう遠くないと思っている。『信頼の政治を取り戻す』ため、皆さんと一緒に闘っていきたい」と、感謝と決意の言葉を述べました。
審議事項では、2025年度活動方針(案)・諸会計予算(案)・表彰について提案し、それぞれ承認いただきました。また活動方針については、代議員より「2025春闘」、「自治体の賃金改善」、「カスタマーハラスメントの防止」について発言を受け、豊村副事務局長が答弁しました。
最後に、伊藤会長が、「連合山口の大会議長を女性2名が務めるのは史上初めてである。男女共生は一気に進むものではないかもしれないが、時代は徐々に変わってきている」と述べたのち、力強いガンバロウ三唱で大会を締めくくりました。
【大会発言】
発言者:河村裕幸代議員(基幹労連)
<賃金・労働条件の向上と地域社会を支える中小企業の基盤強化について>
第1号議案 2025年度活動方針(案)に賛成の立場を表明にした上で、補強意見を述べさせていただきます。「重点分野2」5の賃金・労働条件の向上と地域社会を支える中小企業の基盤強化について、2024春季生活闘争では、33年ぶりの5%超えとなる15,281円(5.1%)となったことは、これまで連合が取り組んできました「未来づくり春闘」「人への投資」このことが社会へと広がり、形となってきたものと率直に評価しております。
一方で中小企業におきましては4.45% 11,358円にとどまっており格差是正は道半ばであると認識しております。
基幹労連におきましても、大手総合と呼ばれる各構成組織については、賃上げ分のみで15,000円以上の回答を引き出すことができました。しかしながら、中小各労組においては、昨年以上の賃上げは果たしたものの大手と比較すると、依然として厳しい回答となった組織も少なくありません。賃金引上げと経済活性化の好循環の考え方を中小企業の経営者に理解いただくためには持続的な賃金の引き上げを実現し、「うちの会社も引き上げなくては!」と思わす必要があると考えております。
そうした中で迎える2025春季生活闘争でありますが、物価の上昇傾向は止まっておらず、10月には食料品の約3000品目も値上げし、またガソリン価格は高止まり、電力料金も値上げとなるなど、組合員の生活にも影響を及ぼしており、まさに「賃上げ待ったなし!」の状況にあります。
連合山口におきましては、そうした状況を踏まえ、持続的な「賃上げ」実現に向けて、経営団体への申し入れ行動はもとより、働く仲間の力を結集し社会的なうねりを作り出すべく、先頭に立って運動を牽引するようお願いします。
基幹労連としても、連合山口の運動に対し全力で協力するとともに、組合員の生活の安心・安定に向けて、今春闘交渉においても持続的な賃金引上げの実現を目指していくことを申し述べてご意見とさせていただきます。
発言者:田中克典代議員(自治労)
<自治体賃金確定闘争および公務職場におけるカスタマーハラスメントについて>
自治体労働者を中心としました自治労の賃金闘争については、8月の国の人事院勧告および10月の県の人事院勧告をもとに各自治体単組が労使交渉を行い、今年度の賃金を確定させます。国、県の勧告の元となる官民較差については、50人以上の事業所を対象に、毎年4月1日時点の月例給および昨年12月と今年6月の一時金を対象にして、その差を勧告し給料に反映させるものとなっています。
今年は、連合の仲間の皆さんの春闘の奮闘をもって33年ぶりの5%超えの結果となりましたことから、公務におきましても1992年以来32年ぶりとなる改定となり国は2.76%(11,183円)、県は2.86%(10,159円)の引上げとなりました。ボーナスに関しても、0.1ヶ月の増加となっています。
初任給についても、人材確保の観点から高卒21,400円(188,000円)、大卒23,800円(220,000円)の大幅な引き上げとなっていますが、中高年層の職員は5,000円程度の引上げに留まっており、月例給、ボーナスともに引上げとはなりましたが、現在の物価高騰下においては、十分な内容とはなり得ていません。
今後はこの勧告に基づいた早期の決着をめざし、年内の差額支給にむけて各単組で交渉を進めたいというところではありますが、国の動向が選挙が終わったばかりで、非常に不透明で見通せないところもあります。しかしながら、この物価高騰に苦しむ組合員の思いはもちろんのこと地域の公務員の賃金を参考にする小規模零細企業や公的事業所などへの影響も踏まえ、労使合意を原則とすることなどを原則に年内の差額指標に向けて鋭意進めていきたいと考えています。
今年の賃金改定を行ったとしても、いまだ物価高騰に追い付いていない状況もありますので、来年の春闘におきましても連合山口の強力なリーダーシップのもと、県内事業所の更なる賃金改善を期待しています。
2点目としましては、公務職場におけるカスタマーハラスメントの問題です。
公務職場におきましては、住民すべてがカスタマーである職業の特質性から非常にクレームを受けやすい職場と言えます。
以前から窓口における長時間の居座りや無謀な要求の許容などそういったものが見られました。近年においては、ネットやニュースで見た内容について全国からクレームの電話が入り、業務を妨害すること、また気にくわない職員がいましたら、写真や動画をSNSで晒すことなど、そういった組織全体に影響を及ぼすような事例が発生しております。また、それによってさらにメンタルを壊すなど2次被害が発生するそういった状況も見られます。
パワハラ指針や人事院規則等を踏まえまして、カスタマーハラスメントを防止する条例の制定や庁舎管理規定などを見直し、大声などの威嚇、居座りなどへの対応をはかるなど具体的な対策が必要となっています。
連合山口、各地協、地区会議などにおいてもこの問題について、積極的に受け止めていただき、あらゆるハラスメントのない社会を目指して政策要望に取り入れるなどの対応をお願いしたいと思います。
以上を自治労山口県本部の発言といたします。共に頑張りましょう。
連合山口コメント:豊村副事務局長
基幹労連の河村代議員のご発言についてですが、2024春闘につきましては連合山口としては5%以上の賃上げを目標に取り組み、結果として全国平均で5.1%、県内では5.2%、県の調査では5.6%程度となりました。このことについては、ここにおられる全構成組織の皆さんがしっかりと粘り強く諦めずに交渉された結果だと思っています。
しかしながら、ご指摘どおり大手と、県内99%を占める中小の格差が今まで以上に広がったというのも事実であります。民間の調査を見てみますと、約11ポイント、3万円以上の差が出ているような状況です。また、賃上げを頑張って行った企業につきましても全てが儲かっているわけでもありません。現状維持で精一杯だという企業や、加えて賃上げを2年続けてやったがもう息切れして限界だと言われている企業も多く聞いております。中小企業の賃上げが進まない理由については、利益率の低さや、経済的な不安定性、人手不足と生産性の問題、大企業との取引、政府支援資金調査の課題、労働組合の力量等々が原因だと言われています。
この課題の解消、格差是正に向けては、連合山口中小労働委員会において、それぞれの単組の状況や、要請事項を確認しながら当該中小労組の支援に取り組みたいと思います。
先ほどの発言にもありましたように、会社側や関係機関への要請行動や、内部での学習会も開催をしていきたいと考えています。それに加えて、県・各市町へも政策要請を行っていきます。また、春季生活闘争決起集会にて意識統一と現状の確認をしていきたいと思っています。加えて、中小の関係で一番の課題であります、適正な価格転換については、労働組合の立場からの経営者団体に対しましても、パートナーシップ構築宣言をさらなる拡大を求めていきたいと思っています。また、労働局に対する要請を通じて公正取引委員会にお願いをしたいと考えています。
さらに外部に向けては、昨年実施された、知事・労働組合連合会長、経営4団体による「山口政労使会議」を今年も開催し、マスコミに取り上げてもらいながら県内全体で賃金を上げていこうという機運の醸成を図りたいと思っています。また、春闘のCMを作成し、放映していきたいと思っていますし、SNSを通じてこの状況を伝えながら、県内の労働組合のない企業の方にも春闘というのはどういうことで、今どういう状況になっているかというのをアピールしながら効果・成果の波及をさせていきたいと思っています。
基幹労連におかれましては、持続継続的な賃上げの実現に向けて昨年も頑張ってもらいましたが、今年も先頭で頑張っていただいて、しっかりとした回答を引き出してもらうような努力を一緒にやっていってもらったらありがたいなと思います。
続いて自治労の田中代議員からの、自治体賃金の確定闘争とカスタマーハラスメントについてのご発言についてです。
適切かつ良質な公共サービスを提供するために使命感を持って働いておられる皆さんの人材の確保・定着、モチベーションの維持のため、公務における賃金が民間賃金に見劣りしない水準を維持していくことは本当に大切だろうと思っています。
今年は32年ぶりの改定になったということですが、定期昇給を加えた引上げ率は4.8%程度と、連合山口として取りまとめた平均の数値にも到達していない状況です。この勧告についてはまだまだ十分ではないし、来年に向けてもう少し頑張ってもらいたいと思っているところもあります。
また発言にもありました通り、小規模零細企業や公的事業所で、公務員の人勧を指標とされているところもあり、この時期の自治労の取り組みが大変重要であると思っていますのでしっかり頑張っていただきたいと思っています。
春にやる民間の春季生活闘争、その結果を受けての秋の公務員の賃金確定闘争、さらにその後にこの結果をもとに地域のさまざまな事業者や個人経営者の方々が働く人たちの賃金が上がる、このサイクルがしっかり動くことで地域はしっかり良くなっていくと思いますし、経済が活性化し元気になっていくんだろうと思っています。
また、どこもそうかもしれませんが、初任給と若年層に大きく配分がされるということで、中堅層以上につきましては5000円程度とありました。できれば、中堅層にもしっかりとした上積みをしてもらうように、頑張っていただきたいと思います。2025春季生活闘争においても、そこを頑張ることによって、人事院勧告や県人事委員会を通じて、公務で働く皆さんの賃上げの流れを波及させられるように、しっかりと今年も春闘を含めて取り組んでいきたいと考えておりますので、引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします。
最後に、公共職場におけるカスタマーハラスメントについてです。
連合山口では、これまでUAゼンセンが過去からしっかりと取り組まれている課題で、個別に推薦県議を通じて県知事への要請行動を行われています。連合山口も何度か県に要請をしていますが、これまでは私たちの望む十分な回答とはなっていません。
公務職場は職務上、生まれてから亡くなるまで、そして子どもから寝たきりの高齢者までと、日々の業務において対象範囲がとても広く、理不尽なクレームやカスハラを受けやすい職場だと思っています。
防止に向けては、労働組合が管理者、事業主に対して具体的な措置を講じることを求めていくことが現在は有効だと思っていますが、これがひどくなれば、これからはILOの条約に準じてハラスメント自体を禁止すること、または罰則を課すことも含めて、推薦議員や連合本部と協力しながら国に働きかけていく必要があるかと思っています。特に近年はカスハラ被害が深刻化をしていますし、テレビ等でもその実態を見る機会が大変増えています。また来年4月には東京都がカスハラ条例を施行するということもあり、世の中の関心もかなり高まってきていると思っています。
以上を踏まえ、11月8日に実施する知事への要請の中に、カスハラ防止条例制定や、ガイドラインの作成、周知のお願いも入れさせてもらいました。
このことによって今後県の対応が変わってくるかもしれませんし、県内の自治体や企業のルールづくりや条例化に向けた動きが加速することに期待をしていきたいと思っています。
また、各地区会議が、今から自治体に対して要請を行っていくと思いますので、その要請内容の中にも加えて全県への展開を図りたいと思っています。
連合山口といたしましても、今後もカスハラやあらゆるハラスメントのない、健全で明るい社会、職場となることをめざしてさまざまな取り組みを進めていきたいと考えております。